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新着文献紹介

<2020年6月 文献紹介>

ロジスティックで単純な手順変更が、QOL評価の回収率を向上させる:日本小児がんグループからのレポート

Sato I, et al. Simple change in logistic procedure improves response rate to QOL assessment: a report from the Japan Children's Cancer Group. J Patient Rep Outcomes. Published online 2020 Jun 17. doi: 10.1186/s41687-020-00214-9.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/PMC7300165/

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臨床試験において患者報告アウトカム(patient reported outcome:PRO)を評価項目とする際、回収率を高める努力が必要となる。 これまでは、症例登録確認直後に各患者用の QOL 調査セットを施設担当医宛に送付してきた。 2016年7月からは、標記臨床試験ALL-B12で、初回QOL調査が治療開始6週後であるため、その直前(5週後)に送付するよう手順を変更した。 担当医の手間や調査セットの紛失を減らし、担当医から患者へより確実に調査票が手渡されることを期待したものである。 手順変更(介入)の効果を明らかにするため、調査セットを送付した日本の病院134施設1767例を分析した。 初回調査票の配布数と回収数は、2012年12月~2014年9月(試験開始直後22か月)/2014年10月~2016年6月(介入前21か月)/2016年7月~2018年1月(介入後19か月)のそれぞれで、557通中381通(回収率68%)、676通中367通(54%)、534通中297通(56%)の合計1045通であった。 初回調査票の回収を従属変数、施設を変量効果、年齢と送付日を共変量とする一般化線形混合回帰では、介入により回収率が改善していた(OR=1.62 [95%CI: 1.1―2.4])。 送付日が遅いほど回収率は低下していた(年 OR=0.74)。 ブートストラップ法により、介入後に回収した64 通(95%CI: 16―111)は介入による増分と推定された。 手順変更の有効性が明らかとなり、今後は他の試験でも同様の手順の導入を希望したい。 臨床試験や調査の成功の背景には、細やかな手順上の配慮と経験の積み重ねが大事であると痛感した。(HR)


<2020年5月 文献紹介>

IIA-IIB期の乳がんサバイバーにおける食事、運動、マインドフルネスの集学的プログラムがQOLに与える影響

Ruiz-Vozmediano J, et al. Influence of a Multidisciplinary Program of Diet, Exercise, and Mindfulness on the Quality of Life of Stage IIA-IIB Breast Cancer Survivors. Integr Cancer Ther. 2020;19. doi: 10.1177/1534735420924757.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32462950/

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スペインの病院で行われた、治療終了後1年以上の乳癌患者(IIA-IIB期)72名を対象としたランダム化比較試験である。 介入群には、6か月間の食事、運動、マインドフルネスの集学的プログラムが提供された。 介入終了から6か月後に両群のアウトカム評価を行っている。QOL評価にはQLQ-C30が用いられた。 研究結果より、介入群ではQOLの身体機能や日常役割機能、社会的機能に効果が認められ、さらに健康的な生活習慣やBMIにも影響を及ぼしていた。
今回の研究では、QOLの心理面では有意な差が認められなかったが、身体面や社会面において効果が示された。 アウトカムとしてのQOL、とくにプロファイル型尺度の特徴が活かされた研究と考えられる。 介入から行動変容に至るプロセスについてQOL評価を加えて検討することは、今後重要性を増していくであろう。(NM)


<2020年4月 文献紹介>

PROMIS尺度の実施方法は、スコアレベル、信頼性、妥当性に大きな影響を与えない

Bjorner, JB, et al. Method of Administration of PROMIS Scales Did Not Significantly Impact Score Level, Reliability or Validity. J Clin Epidemiol. 2014;67(1):108-113.

【目的】患者報告アウトカム測定情報システム(PROMIS)で開発された尺度のスコアレベル、信頼性、妥当性が実施方法(MOA)によって影響を受けるかどうかを検証すること。
【研究デザインと設定】COPD、うつ、関節リウマチの成人患者923人が、3つのPROMIS項目バンク(身体機能、疲労、うつ)のそれぞれから8項目選択された2つの重複しない平行フォームを完成させた。 ランダム化クロスオーバーデザインにて、参加者は、1つのフォームに対して電話による対話型音声応答(IVR)、紙によるアンケート(PQ)、携帯型情報端末(PDA)、またはパソコン(PC)で回答し、2つ目のフォームにはPCで回答した。 実施方法間の等価性は、スコアの差、級内相関(ICC)、収束/弁別的妥当性分析によって評価された。
【結果】スコア差分析では実施方法間に有意な差は検出されず、信頼区間は全て、事前に設定された0.2 SD以内であった。 並列フォームの信頼性は非常に高かった(ICC = 0.85-0.93)。ICC全体で1つのモードだけが、同じモードのICCよりも有意に低かった。 妥当性のテストでは、MOAによる影響は示されなかった。参加者は、PQやIVRよりもスクリーンによる回答を好んだ。
【結論】PCと比較して、IVR、PQ、PDAでの回答のスコアレベルや計量心理学的特性は、統計的・臨床的に有意な差は見られなかった。

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昨今、スマートフォンやタブレットにてPRO尺度に回答する方法、いわゆるe-PROが広く使われるに伴い、PROの活用領域が広がっている。 そこで、少し前の論文ではあるが、紙で回答する従来の方法とe-PROとで回答に生じる差異に関する論文を紹介した。 PROMISは米国国立衛生研究所(NIH)による臨床研究のためのPRO実践システムであり、さまざまなPRO指標を統合した項目バンクを提供している。 PROMISにおいてさまざまな方法で回収されたPROの回答を比較した結果、平均スコアに統計的・臨床的有意差はみられなかっただけでなく、その信頼性・妥当性にも差は検出されなかった。 主観的な好みでは、紙の質問紙への回答よりもパソコンによる回答が好まれていたことは興味深い。(SY)


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